パノラマX線写真
両側頬骨は三角形状に形態が変化し、不透過性の亢進を示している。それに伴いパノラマ無名線は不明瞭化し、また無名線より上顎洞後壁までは不透過性亢進を示している。上記の所見は両側上顎洞根治手術後の変化を示すものである。三角形様に形態変化を示す左側頬骨の下方部に単房性で類円形のX線透過像を認める。境界は明瞭で、辺縁平滑、周囲に硬化像を伴っている。但し、一部辺縁硬化像が不明瞭な領域もある。大きさは、長径3.5 cm程度である。病変上部は狭小化した左側上顎洞と重なっている。病変は左側上顎56根尖と重なっている。左側上顎5根尖部の歯根膜腔ははっきりせず、歯根はナイフエッジ上に消失している。左側上顎6歯根尖部歯根膜腔は確認出来る。口内法X線写真より左側上顎56歯根周囲歯根膜は確認できることから、上記病変が歯根嚢胞であることは否定される。過去の上顎洞根治手術の既往より術後性上顎嚢胞が考えられる。
右側も右側上顎5根尖部に同様の所見を呈し、術後性上顎嚢胞が考えられる。
左側下顎6歯根尖に歯根膜腔の拡大に連続した境界明瞭なX線透過像を認める。同歯牙原因の慢性根尖性歯周炎(歯根肉芽腫)である。
全顎歯牙周囲歯槽骨は歯根1/3レベルであり、軽度の辺縁性歯周炎の所見である。