Case5
歯根嚢胞の感染による上顎洞炎
 
     

パノラマX線写真

 

右側上顎56根尖部で右側上顎洞底部に単房性で類円形のX線透過像を認める。境界明瞭、辺縁は平滑である。大きさは、長径2.5 cm程度である。病変は右側上顎6口蓋根歯根膜腔及び5歯根膜腔と連続している。病変内部の透過像の程度は極めて軽度で内部には骨梁が明瞭に認められる。右側上顎5、6が原因の慢性根尖性歯周炎(歯根嚢胞)である。病変のrimと接する右側上顎洞底線は右側硬口蓋と重なっており不明瞭化している。病変による上顎洞形態に変化はない。


口内法X線写真



右側上顎56根尖部に単房性で類円形のX線透過像を認める。境界明瞭、辺縁は平滑である。大きさは、長径1.8 cm程度である。病変は右側上顎6口蓋根歯根膜腔及び5歯根膜腔と連続している。病変内部の透過像の程度は極めて軽度で内部には骨梁が明瞭に認められる。右側上顎5、6が原因の慢性根尖性歯周炎(歯根嚢胞)である。

Waters法X線写真

 
両側上顎洞の形態及び内部のX線透過性に明らかな異常は認めない。パノラマX線写真上で検出されたX線透過像は認めない。
 

P-A view

 
右側上顎洞底線は不明瞭化している。同時に、パノラマX線写真上確認された右側上顎5、6根尖部のX線透過像は明確に同定できない。但し、右側上顎洞の形態はほぼintactである。
 

エックス線CT写真


骨モード:
右側上顎洞底内部に境界明瞭な単房性のsoft tissue density structureを認める。境界明瞭で、辺縁は平滑で、周囲には一層の骨を伴っている。大きさは長径1.5 cm程度で、類円形を示している。病変内には右側上顎5、6根尖部が含まれている。病変の接する頬側皮質骨は膨隆し、菲薄化を示す。

 



軟組織モード:
右側上顎5、6相当の顎骨頬側に単房性で類円形のwater density structureを認める。境界明瞭で、辺縁は平滑で、周囲には一層の骨を伴っている。大きさは長径1.5 cm程度である。内部のCT値は測定されていないが、周囲組織の表示色との比較から軟組織より低い値と考えられる。病変の接する頬側皮質骨は膨隆し、菲薄化を示す。上記部に発生した良性嚢胞性疾患である。病変内には右側上顎5、6根尖部を含んでいる。右側上顎洞底部前方及び後方壁に限局的にsoft tissue density structureを認める。前方部のものは上記病変の一部が上顎洞を挙上しているものである。後壁の部分は上顎洞貯留嚢胞の所見である。

   
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