上顎洞の撮影方法
   
頭部後前方向撮影(P-A投影法)

目的:頭部全体、あるいは広範囲な顔面骨の正面像を観察したい場合に行う。上方は前頭骨から側頭骨、下方は下顎骨までを含む広範囲の頭蓋顔面骨を観察できる。外傷による顔面骨骨折の診断や、鼻腔・副鼻腔・眼窩周囲などの観察、疾患が頭部や顔の側方に向かって進展しているような場合に骨の変化を観察するために用いられる。
撮影法:立位、座位、腹臥位のいずれで撮影を行う。検出器に対して正中矢状面が垂直となるように頭部を正対させ、鼻尖部が検出器に接触するまで近づけた後、さらに額を検出器に近づけ、フランクフルト平面が10度程度前傾するまで傾斜させる。中心線の入射点は外後頭隆起直下に位置づけ、検出器に対して入射する角度づけを行う。主にう蝕、根尖病変、辺縁性歯周炎、智歯周囲炎などの限局性の歯性感染によって引き起こされるが、抜歯などの術後や外傷後の感染によっても引き起こされることがある。

 Waters撮影法

目的:副鼻腔の観察を主な目的とし、特に上顎洞の観察に適した撮影法であり、左右上顎洞のX線透過性の違いを観察しやすい。また、前頭洞や眼窩周囲の骨、眼窩下孔、梨状孔、鼻中隔、上顎骨、頬骨弓、正円孔などの観察にも適している。
撮影法:立位、座位、腹臥位のいずれかで撮影を行う。検出器に対して正中矢状面が垂直となるように頭部を正対させ、オトガイ部を検出器に向ける。オトガイ部を検出器に付けたまま、フランクフルト平面が検出器に対して45度の角度となるまで頭部を後屈させるように額を上げる。中心線の入射点は、外後頭隆起の上方に位置づけ、鼻下点付近を透過して、検出器に対して垂直に入射するよう角度づけを行う。  
    上顎洞の疾患
     Case1 歯性上顎洞炎
     Case2 歯性上顎洞炎
     Case3 術後性上顎嚢胞
     Case4 貯留嚢胞
     Case5 歯根嚢胞
     Case6 歯肉癌
     Case7 含歯性嚢胞
     
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参考文献:歯科放射線学 第6版 医歯薬出版株式会社